
山越 久子
Yamakoshi Hisako
私がハーダンガー刺繍を始めて35年の月日が流れました。
このように永く続けることができたのは、ハーダンガー刺繍の幾何学模様の美しさとレースのような繊細な表情に惹かれ、日々わずかな時間でも布と針を持ち、ごく自然に楽しんできたからなのだと思います。
製図を引いて色を決め、ステッチを刺す。仕上がりを見ては、またステッチを入れていく。その繰り返しによって自分の思い描く作品になっていく喜びは何ものにも代え難く、その時は本当にこの刺繍に出会って良かったと感じるばかりです。
やがて自身が教える立場になり、さまざまな方と出会う機会にも恵まれました。自分とはまた違う感性やセンスを発見するたびに、それが私の作品作りの刺激になることが多々あり、改めてハーダンガー刺繍の奥深さに思い至ります。
昨今の大変な自然災害や他国の戦争など、とても辛く悲しいニュースを目にする度に、ハーダンガー刺繍のような手仕事を楽しむことができる平和で穏やかな暮らしは本当にかけがえのないものだと思います。
地球上のすべての人がそんな時間の中で毎日を過ごすことができるよう、心から願ってやみません。
PROFILE
ハーダンガー刺繍作家・講師
「アトリエ・オリーブ」主宰
(一社)日本手工芸指導協会 師範
平成元年より小野寺美智子氏に師事し、ハーダンガー刺繍を始める。
平成10年に「アトリエ・オリーブ」を立ち上げ、自身の作品制作と講習を行う。
現在、自宅と一般財団法人栃木県青年会館コンセーレにて教室を開催しながら
ハーダンガー刺繍の魅力を伝える活動を展開中。
2025年 日欧宮殿芸術協会正会員

湖面
ハーダンガー刺繍

幸の木
2023年 ハーダンガー刺繍 100㎝×130㎝

タラッサ (海)
2022年 ハーダンガー刺繍 90㎝×120㎝

街角
2021年 ハーダンガー刺繍 130㎝×130㎝

祈り
2018年 ハーダンガー刺繍 130㎝×130㎝